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■環境政策局
VOC(揮発性有機化合物)規制の実際について調べてみました。現在、日本のVOCは「大気汚染防止法」という法律で定められています。そのなかの第2章の2に「揮発性有機化合物の排出の規制等」という項目があり、排出の基準内でなければならないという、項目があります。その排出基準は京都の場合、京都府の制定した「京都府環境を守り育てる条例施工規則」で定められています。その中の別表第3(第4条関係)に、塗料中に含まる物質ごとの排出基準値が示されています。(以下の表のとおりです。)
物質名 |
排出口基準 |
亜鉛及びその化合物 |
亜鉛として 20ミリグラム |
アクリルアルデヒド |
0.3立方センチメートル |
アクリロニトリル |
7立方センチメートル |
アンチモン及びその化合物 |
アンチモンとして 0.3ミリグラム |
アンモニア |
100立方センチメートル |
塩化水素 |
20立方センチメートル |
塩化ビニル |
10立方センチメートル |
塩素 |
3立方センチメートル |
カドミウム及びその化合物 |
カドミウムとして 0.2ミリグラム |
キシレン |
300立方センチメートル |
クロム及びその化合物 |
クロムとして 0.2ミリグラム |
クロロホルム |
30立方センチメートル |
シアン化水素及びシアン化合物 |
シアン化物イオンとして 20ミリグラム |
ジクロロメタン |
200立方センチメートル |
臭素 |
0.3立方センチメートル |
水銀及びその化合物 |
水銀として 0.2ミリグラム |
すず及びその化合物 |
すずとして 7ミリグラム |
窒素酸化物
(燃焼により生成するものを除く。) |
100立方センチメートル |
テトラクロロエチレン |
200立方センチメートル |
銅及びその化合物 |
銅として 0.3ミリグラム |
トリクロロエチレン |
200立方センチメートル |
トルエン |
200立方センチメートル |
鉛及びその化合物 |
鉛として 0.3ミリグラム |
ニッケル及びその化合物 |
ニッケルとして 3ミリグラム |
二硫化炭素 |
30立方センチメートル |
砒ひ素及びその化合物 |
砒ひ素として 2ミリグラム |
フェノール |
20立方センチメートル |
弗ふつ素、弗ふつ化水素及び弗ふつ化珪けい素 |
弗ふつ化物イオンとして 5ミリグラム |
ベンゼン |
30立方センチメートル |
ホスゲン |
0.3立方センチメートル |
ホルムアルデヒド |
2立方センチメートル |
マンガン及びその化合物 |
マンガンとして 1ミリグラム |
メタノール |
700立方センチメートル |
メチルエチルケトン |
300立方センチメートル |
硫化水素 |
30立方センチメートル |
硫酸 |
3ミリグラム |
さて、問題になるのは、塗装工場の排気口(主に塗装ブースの排気ダクト)から排出される気体、1立方メートルの中にどれくらい上記の物質が含まれているか、という基準の値です。これ以下であるというのが規制値です。
では自社の工場からどれだけVOCを排出しているのか、計算する方法について、1つの例をあげて説明します。
【計算の前に調べること】
@塗装ブースの排風量を調べる。
これはブースの取扱説明書か、ブースメーカーに聞くと判ります。
今回は仮に、圧送式ブースで排気ファンの出力が5.5KW、280立米/分ということにします。
Aスプレーガンの塗出量を調べる。
今回使用するスプレーガンはアネスト岩田W-101-134Gです。メーカーのカタログスペックから、塗出量は170g/分ということが判りました。アネスト岩田HPはコチラ→http://www.anest-iwata.co.jp/
B自社が使っている塗料のMSDSを取り寄せて、塗料の成分を調べる。
今回は例としてデュポンG2-4700SクロマクリヤーのMSDSから下記の成分だということが判りました。なお、MSDSはメーカーのホームページから取得できました。コチラ→ http://www.refinish.jp/dupont/
| 化学名 |
含有量 |
| キシレン |
26% |
| エチルベンゼン |
6.5% |
| メチルエチルケトン |
5-10% |
| メチルイソアミルケトン |
3-5% |
| アセトン |
1-3% |
| 酢酸ブチル |
1-3% |
| メチルアミルケトン |
1-3% |
| メチルイソアミルケトン |
1-3% |
| ココアルキルジメチルアミン |
0.3-1.0% |
| 酢酸 |
0.1-0.3% |
| ペンタメチル-4-ペピリニジニルエステル |
0.1-0.3% |
| トルエン |
0.1-0.3% |
| 規制対象外成分 |
40-50% |
この塗料中に含まれる物質のなかで、VOC規制に関係のあるものは前出の表から、トルエン、キシレン、メチルエチルケトンの3品目です。
【排出量の計算】
さて、これらのデータからブースダクトからの、3品目の排出量を各々計算します。
概論は、ブース排風量の中にスプレーガンから噴霧されたVOCがどれだけ含まれているかを算出する。気中濃度および、府条例値の計算式は、右欄のとおりです。
| トルエン C7H8 |
データ |
計算式 |
| 分子量(モル質量 g/mol) |
92.14 |
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| 比重 |
0.866g/ml |
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| 塗料中含有量 |
0.3% |
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| スプレー噴霧量 |
170ml/min. |
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| ブース排気量 |
280立米/min. |
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| 【トルエンの計算結果】 |
| 気中濃度 |
1.58mg/立米 |
スプレー噴霧量×比重×1000×塗料中含有量/100/排気量 |
| 京都府条例基準:300 (ppm)に対して |
0.383 (ppm) |
気中濃度(mg/立米)×22.4/分子量 |
| キシレン C8H10 |
データ |
計算式 |
| 分子量(モル質量 g/mol) |
106.17 |
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| 比重 |
0.88g/ml |
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| 塗料中含有量 |
26% |
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| スプレー噴霧量 |
170ml/min. |
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| ブース排気量 |
280立米/min. |
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| 【キシレンの計算結果】 |
| 気中濃度 |
138.91mg/立米 |
スプレー噴霧量×比重×1000×塗料中含有量/100/排気量 |
| 京都府条例基準:300 (ppm)に対して |
29.3 (ppm) |
気中濃度(mg/立米)×22.4/分子量 |
.
| メチルエチルケトン C4H8O |
データ |
計算式 |
| 分子量(モル質量 g/mol) |
72.11 |
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| 比重 |
0.805g/ml |
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| 塗料中含有量 |
10% |
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| スプレー噴霧量 |
170ml/min. |
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| ブース排気量 |
280立米/min. |
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| 【メチルエチルケトンの計算結果】 |
| 気中濃度 |
48.88mg/立米 |
スプレー噴霧量×比重×1000×塗料中含有量/100/排気量 |
| 京都府条例基準:300 (ppm)に対して |
15.18 (ppm) |
気中濃度(mg/立米)×22.4/分子量 |
上記計算により、3品目はいずれも基準値以下の数値となり、法に合致している結果となりました。
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