クリヤーの用途はなにも自動車ばかりではありませんが、塗料メーカーは自動車塗装の需要を考え、中心に据えているケースが多いため、各社から用途別に数多くの製品が発売されています。これらの製品を使ってできる作業も多く存在します。自動車用以外のクリヤーも含め、まずは製品の特徴などの情報をお届けしますので、その用途についての判断材料としてお役立てください。
実際にはさまざまな用途でクリヤーが使わていて、業種によってはいまだにラッカーが主流であるケースもあります。
ハンドメイドのルアーを製作されている会社の技術の方から、お問い合わせをいただきました。こちらの業界ではトップコートはラッカーが主流であり、肉やせするということと、キズが付きやすい。対策として現在はウレタンクリヤーを使用しているが、さらにキズ付きにくいものを探しているということでした。
そのようなことで、今回特殊と思われるようなトップコートクリヤーも含めて調べてみました。キズ付きにくいクリヤーという条件で、私のヒラメキですがラインナップを挙げてみることにします。クラフト系でお使いになるには少々容量が大きなものばかりですが・・・。
■ウレタンクリヤー
すでにご存知だと思いますが、自動車の補修用のトップコートにはウレタン系トップコートクリヤーが使用されています。塗料メーカーからさまざまな製品が出ています。 詳しくは▲コチラへどうぞ
■ポリエステル cf. nax マイティラックG2 KB型クリヤー
京都の観光地に行けばよく見かけたものですが、舞妓さんのミニチュア人形がガラスの塊の中に納まっている土産物があります。これはミニチュア人形を透明の樹脂で固めたものです。これに使われているのがポリエステル樹脂で、爪のあとも付かないくらい、とても硬いものです。
■耐スリ傷性クリヤー nax マイティーラックG2 295ニューセラミッククリヤー・ デュポン3300S・
デュポン696S・ シッケンズオートクリヤープラスHS
1989年にトヨタから発売された初代セルシオの6K4という塗色と、202ブラックのソリッド系塗色のトップコートにはこの耐擦傷性塗装が採用されています。この2つの塗色はいずれもダーク系で、これらの塗色はすり傷が目立ちやすいため、防御策として耐スリ傷性が施されています。細かなスリキズならば復元するような性質の塗装であるともいえます。実際の塗装工場ではこの補修塗装に手を焼いていました。理由は塗装後のブツとりに#2000のペーパー処理のキズがコンパウンドで消せないため、なんぎしたものです。これはクリヤーの材質がちょうど硬質ゴム状をイメージしていただければ解り安いと思いますが、塗膜に弾力性があるために、こういった現象になります。耐スリ傷性塗装は以後も進化し、現在もトヨタの多くの車種に引き継がれています。
■レクサス セルフレストリングコート 自己修復型クリヤー
2009年9月29日 トヨタ自動車は洗車傷やドアハンドル周りのつめ傷などのすり傷に対して高い耐性をもつクリア塗装「セルフ・レストリング・コート(自己修復性耐すり傷塗装)」を開発し、近く発売予定のレクサス『LS』に採用すると発表した。
クルマのすり傷は、塗装最表面のクリア塗装に負荷がかかり塗膜が破壊・変形することによって生じる。同社では今回、従来のクリア塗装と比べ、塗膜が破壊されにくく、変形した場合でも復元する特性をもつクリア塗装を開発した。特別なメンテナンスも不要で、すり傷による光沢低下を防止、長期間にわたって新車購入時の色・艶の維持に貢献するとしている。
具体的には、クリア塗装の材料である樹脂に、分子同士の結合を促進する特殊な分子を加えることで、複数の分子との結合をしやすくし、ち密な分子構造によって柔軟で弾性に富む特性となり、塗膜を破壊しにくくする。光や酸に対する抵抗性、変形回復性も向上した。
高級車はブラック系のボディカラーが多く、すり傷が目立つため、新開発の塗装をアピールして他モデルとの差別化を図るとしている。
なお弊社の独自の調査によると、ニューレクサスはカラートリム212ブラックなどの濃色だけでなく、レクサスの全塗色に、このセルフレストリングコートが採用されたようだ。また補修塗装の対応は、各塗料メーカーから暫時発売の予定。後日詳細を伝えます。また、補修のためにこのクリヤーを塗装するだけでなく、他の用途でもクリヤーの特性を生かして、多方面に広がる可能性があり、発売が待たれるところ。
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■レクサスLSのセルフレストリングコート採用色一覧
カラートリム |
色名 |
| 077 |
ホワイトクリスタルシャイン |
| 1F2 |
プレミアムシルバー |
| 1G0 |
ダークグレーマイカ |
| 1G5 |
フロスティーパールマイカ |
| 212 |
ブラックレッドマイカクリスタルシャイン |
| 3R1 |
ブラック |
| 4T5 |
レッドマイカクリスタルシャイン |
| 4U7 |
セーブルマイカM |
| 6V6 |
スリークエクリュM |
| 8V3 |
ディープペリドットMC |
| 8V4 |
シャドーサファイアM |
| 8U0 |
ダークブルーMCカラークリヤー |
| 214 |
ブラックオパールMC |
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【追記:セルフレストリングコート】
今回マイナーチェンジのレクサスLSのモデルには濃色車だけではなく、淡彩色にも全塗色にセルフレストリングコートが採用されました。カラーは212ブラックをはじめ別表のとおりです。
さて、レクサスLSの新型が発売されて間もないですが、そのセルフレストリングコートを磨いた経験のあるプロのディテーリングの方にお話を聞きました。塗色は212ブラック。1回目、ポリッシャーはギアアクションにソフトウレタンバフ(低反発ではない)を取り付け、細目のコンパウンドを使用。2回目はダブルアクションにソフトウレタンバフとコンパウンドは超微粒子を使った。
この方法で磨けることがわかりました。「磨いた感想は、従来の耐スリ傷性塗装に比べて、磨きやすかった。」ということです。耐スリは硬質ゴムのような塗膜で、弾力があり磨き辛く、キズとりは難しかったが、今回のセルフレストリングコートは、そういうことはない。という印象。
セルフレストリングコートに浅いキズなどが入った場合、「熱を加えると元に戻る(熱可塑性)」という性質を利用して、キズが修復する。ちなみに浅いキズのある箇所に熱い湯(80℃くらいかな)を掛けて見ると、キズはわからなくなった。熱い湯としたのは最高でも100℃までだから、ボディに少し気を使って80℃程度としました。仮に短波の乾燥機などで熱を加える場合は、これ以上に温度が高くなることもあるので、注意が必要です。夏場はボディーに太陽熱が加わって表面温度は50℃くらいにはなるので、この程度の温度でも自然にキズが修復する。冬場は温度が低いので、修復しにくい、ということが予測される。 ・対応製品名 : naxイージス(3:1)グリフィスクリヤー
■自己修復型クリヤー、ドコモ携帯に採用
日産自動車は11月10日、NTTドコモに自動車向けの塗装技術特許を供与する発表した。日産が東京大学などと共同開発した技術で、塗装の表面上の細かな擦り傷であれば、時間の経過とともに自然に修復する。ドコモは同技術を2010年1月に発売予定の、NEC製携帯電話に採用する計画だ。
特許を供与するのは「スクラッチシールド」と呼ばれる塗装技術で、日産・東大のほか、東大発ベンチャーのアドバンス・ソフトマテルアルズ(東京・文京区)が共同で開発。05年12月に日産から発売されている「エクストレイル」の外装塗装に採用されている。現在は「ティアナ」や「スカイライン」をはじめ数車種に使われている。日産とアドバンス社は06年以降、共同開発を継続しており、ドコモ向けには、より剥がれにくく、表面の状態を長期間維持できる技術特許を供与する。
■日産 スクラッチ・ガードコート ASAPクリヤー
通常のクリヤーコートに特殊高弾性樹脂を配合し、柔軟性を向上させ、樹脂の結合密度を高くすることで強靱性を高めて、日常での使用で生じる細かい擦りキズによる塗装表面の劣化を防ぎ、新車時の塗装品質を長期間維持することができると言われています。また、塗装面を温めることにより復元を早めることができる。ただし、クリヤー塗装がはがれるような深い傷は復元することができない。2006年に日産エクトレイルのKH3ブラックに採用されて以来、スクラッチ・シールドへと進化を遂げ、続々と新車種に標準装備で追加されている。 ▲関連情報 自己修復材料
■フッ素クリヤー nax スーパーフロンR
私の記憶では1990年頃から日産のPAOに初めて採用されたものがこのフッ素系のクリヤーです。この塗装を施した車両にはSFC(Super Fine Coatig)のステッカーが貼られています。この塗装もボディーのスリキズを防止して、耐候性を向上させるために施されていました。フッ素樹脂の特性上とても硬い塗膜になります。現在はさら進化し、耐スリ傷性フッ素というものになっていて、多くの日産の車種に採用されています。
■UV硬化型クリヤー
UV硬化型は上記のクリヤーとは異なる乾燥形式で硬化します。UVとはUltra Violetの略で紫外線を照射することによって、ごく短時間で完全硬化する樹脂のことです。ごく短時間とは最短ではわずか数秒で硬化するというものもあり、製造ラインではただちに次工程へ移行することができるため、時間短縮にはとても有用です。用途は、各種プラスチック製品の塗装には多用されます。乾燥に高熱を必要としないため、樹脂の熱変形の心配はありません。UV塗料の特徴は塗膜硬度が硬く、傷つきにくい。しかもフレキシブルな樹脂の特徴を持っているので、テーブルの天板など木製品の仕上げなどに適しています。乾燥には必ず塗料とマッチしたUV照射機が必要になります。現在はラインで使われているのがほとんどですが、使用用途は広がる可能性はあります。超速硬化の特徴に着目して、建具の現場補修にUV硬化を使っているケースやカーコンビニの自動車補修にUV硬化パテ、サーフェーサーを使って45分仕上げという用途もあるくらいです。
*以後もこのページの情報は詳細を追加していきますので、興味のある方はチェックしておいてくださいネ。 |