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■研磨キズの深さを数値化するにあたり、次の理論を考えてみた。
【ポリッシャー】
各々のポリッシャーは研磨力が異なる。その強さの度合い、すなわちキズの深さの度合いはシングルは1.0としてギアは0.75、ダブルは0.50とした。
【バフ】
バフは以下の6種類に限定して各々ウールハードを1.0としてウールソフト0.5、低反発ハード0.6、低反発ソフト0.4、ウレタンフォーム中目0.25、ウレタンフォーム細目0.15とした。
【コンパウンド】
コンパウンドは以下の4種類のメンツェルナ製品に限定し、各々(34A)細目を1.0として(91J)極細目0.6、(90J)超微粒子0.3、(85J)極微粒子0.15とした。
■さらにポリッシャー、バフ、コンパウンドはキズの深さに与える影響力は均等ではないと考えて、以下の影響数値で考えてみた。最もキズ深さに影響力が高いと思われるコンパウンドは、1.50、ポリッシャーは次に影響力が高いと考え、1.25、それらに比べてバフはまだ影響力は少ないと考えて、1.10とした。
■「キズの深さはツールの組み合わせにより決まる。」それは相対的に影響を及ぼすため、これらの数値を加算するではなくて、乗算で計算してみると、下記の表ができた。最も数値の高い(深いキズ)のケースはシングル-ウールハード-細目という組み合わせで206という値。最も低いケースはダブル-ウレタンソフト-極微粒子という組み合わせで2という値である。しかし、これらの組み合わせは実用上使わないほうがよい。むしろ使えないというべきか。206などはキズが深すぎて、次工程以後に相当手間どる。できるだけミドルレンジあたりからスタートしたほうがよい。低すぎる値の場合は、研磨力が全くないといってもいい。工程の考え方はできれば2工程までが理想で、多くても3工程で仕上げる方法を考えるほうが効率的である。
*ひとつおことわりしておきますが、この数値はキズの深さを比較するものであって、数値自体は研磨材のグリットではなく、数値が大きいほど深いキズで、数値小さいほど浅いキズを表します。
【研磨目の深さのマトリックス】
| ポリッシャー |
シングル
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ギア
|
ダブル
|
| バフ/コンパウンド |
細目
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極細
目
|
超微
粒子
|
極微
粒子
|
細目
|
極細
目
|
超微
粒子
|
極微
粒子
|
細目
|
極細
目
|
超微
粒子
|
極微
粒子
|
| メンツェルナ |
34A
|
91J
|
90J
|
85J
|
34A
|
91J
|
90J
|
85J
|
34A
|
91J
|
90J
|
85J
|
| ウールハード |
206
|
124
|
62
|
31
|
155
|
93
|
46
|
23
|
103
|
62
|
31
|
15
|
| ウールソフト |
103
|
62
|
31
|
15
|
77
|
46
|
23
|
12
|
52
|
31
|
15
|
8
|
| 低反発ハード |
124
|
74
|
37
|
19
|
93
|
56
|
28
|
14
|
62
|
37
|
19
|
9
|
| 低反発ソフト |
83
|
50
|
25
|
12
|
62
|
37
|
19
|
9
|
41
|
25
|
12
|
6
|
ウレタン
フォーム中目 |
52
|
31
|
15
|
8
|
39
|
23
|
12
|
6
|
26
|
15
|
8
|
4
|
ウレタン
フォーム細目 |
31
|
19
|
9
|
5
|
23
|
14
|
7
|
3
|
15
|
9
|
5
|
2
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磨きとはキズを置き換えていくという概念は「その1」でお話したとおりです。
*すべてのマトリックスに理論値を計算することはできますが、工程を絞り込んでいくための消去法により、実践にそぐわない組み合わせは、取り消し線にて消しています。
■シングルポリッシャーのみを使った磨き工程例
塗装工場では、まだ、ダブルアクションポリッシャーは普及していないため、シングルポリッシャーのみで磨き作業が行われています。その場合経験則において、バフの種類とコンパウンドを替えることによって、研磨目を段階的に細かくしていく方法がとられています。
主な方法は次のとおりです。
@シングルポリッシャー、ウールバフ(ソフト)、極細目 (研磨目62)
A 〃 ウールバフ(ソフト)、超微粒子 (研磨目25)
B 〃 ウレタンフォーム(中目)、超微粒子 (研磨目15)
C 〃 ウレタンフォーム(細目)、極微粒子 (研磨目5)
Dさらに研磨目を消すために手作業でノンシリコン艶出し剤を塗布する。
シングルで最終工程まで仕上げるため、できるだけ研磨目を細かくする必要があります。マトリックスで言うと、この工程の最終研磨目は5ですが、研磨目が一定方向に配列されるために、濃色では目視できる可能性があるため、さらに研磨目を消すために、柔らかい布で手作業で、ノンシリコン艶出し剤を塗布するという作業が行われています。
■シングル、ダブルアクションポリッシャーを使った磨き工程例
ダブルアクションポリッシャーの効能は、研磨力は小さいですが、ランダムな動きにより、一定方向の研磨目配列が消され、同レベルの研磨目でも、目視できる可能性は低くなります。ダブルアクションの機能を生かし、さらに、低反発バフを加えた磨き工程は、下記のとおりです。
@シングルポリッシャー、ウールバフ(ソフト)、極細目、(研磨目62)
Aダブルアクションポリッシャー、低反発バフ(ソフト)、極細目、 (研磨目25)
Bダブルアクションポリッシャー、ウレタンフォームバフ(ソフト)、超微粒子、 (研磨目8)
最終研磨目は8ですが、ランダムな研磨目配列により、視認できなくなります。
■シングル、ギア、ダブルアクションポリッシャーを使った磨き工程例
この工程の特徴は、シングルとダブルの中間の研磨力をもった、ギアアクションというツールの特性をうまく使う方法です。
また、低反発バフは研磨力は強くても、塗膜に深いきずを残さないという特性があり、短時間でよりスムーズに次工程へ移行できます。
@シングルポリッシャー、低反発バフ(ハード)、極細目、(研磨目74)
Aギアアクションポリッシャー、低反発バフ(ソフト)、超微粒子、 (研磨目19)
Bダブルアクションポリッシャー、ウレタンフォームバフ(中目)、超微粒子、 (研磨目8)
このほかにも、組み合わせはたくさんありますので、工場の実践において短時間で仕上がりのよい磨き方法の開発に、このマトリックスをお役立てください。
【塗装業とディテーリンク業の相違点】
塗装業は塗装後の磨きが前提になります。一方ディテーリング業は新車塗膜の磨き仕上げであるとい点です。
・塗装業の磨き(ピンク)
たとえ設備が整っている工場であっても、塗装すればいくらかのゴミが付着します。そのゴミを処理する際、砥石やペーパーなどを用いて研磨するために、塗膜には深いレベルのキズが入ります。 その粒度はおおよそ#1500というグリットに相当するキズです。
また、設備環境(特にブース)などにより、最終コート時に塗りこみができない場合もよくあります。この場合は塗り肌が粗く仕上がるのでやむなくクリヤー層をペーパーで削り落として滑らかにする必要があり、塗膜にはゴミ処理と同様のギズが入っています。塗装業の磨きは、まずこのキズを消すことからスタートすることになります。
ツールの組み合わせは【シングルポリッシャー&ウールソフトバフ&極細目コンパウンド】で、数値で表すと、最低でも62という段階からのスタートとなります。また、場合によっては、それ以上の深い数値から、スタートしなければならい時も多くあります。
例えばポリッシャーとバフは同じでも、コンパウンドを細目からスタートした場合は、102からスタートすることになります。
・ディテーリング業の磨き(グリーン)
塗装業の磨きと違って、ゴミ処理という研磨の工程はないのが前提なので、深いペーパーキズがあるといったケースは稀で、深いキズでも洗車キズというレベルのキズであり、現状の新車塗膜を前提としたものです。
最近、ディテーリング業ではギアアクション&ダブルアクション切り替え式ポリッシャーと、低反発バフを使った方法が普及してきているが、これらが多用されるのには理由がある。
従来のシングルポリッシャー&羊毛バフよりも深いキズを入れずに、細かな段階でスタートするためである。数値で表すと62よりは細かな段階になる。
したがって塗装業の磨きとディテーリング業の磨きとは、スタートする段階に違いがあります。
【オール・イン・ワン・コンパウンドのウソ・ホント-研磨材がつぶれて細かくなる?】
研磨材の原料はご存知のように、酸化アルミという金属である。あるいはシリコンカーバイド(珪素)という鉱物を砕いた粉である。ポリッシングは、ゴムやスポンジなどそう固くないものなので、圧力を架けても粒子が潰れるとは考えにくい。また、研磨による摩擦熱を加えると説明されても、そのような高温を加えると塗膜自体が変質してしまうであろう。
研磨材が粉砕する理由で研磨力が落ちるのではなくて、それはコンパウンドの中に含まれる溶剤と水分が、摩擦熱によって蒸発するため、コンパウンドの研削力が落ちるため、そう錯覚するのではないでしょうか。
このような粉砕型のコンパウンドを使用するならば、「磨き」を論理的に考えられなくなって、より解りにくくしてしまう、と思うのですがいかがなものでしょう・・・。
【研磨目の確認方法】
磨きのあと研磨目はどのような方法で確認すればよいか。
コンパウンドの油分で研磨目が埋まっているため、一見、出ていないように見える場合があります。でも、数日経って、バフ目が出てきたなんてことになります。そうならないために、次のような方法で確認しましょう。磨いた後、シリコンオフで油分で拭き取る。さらに、これより良い方法は、マジックリンというような洗剤を噴霧して、洗い流すとよく判ります。一度お試しください。 |