クラックル塗料/オペラートの塗装方法 
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オペラートのクラック模様テスト

完成品
「オペラート」でイメージ通りにクラック模様をつくり出す。

塗るとひび割れが起こり、不思議な模様になる「オペラート」と言う特殊な塗料があります。通常の塗料とは違い、オペラートを塗るとクラックが入って下の色が割れた所から見えると言う塗料で、下色とオペラートの色の組み合わせで、面白い効果を出すことが出来ます。最近では、ルアーにも、クラック塗装を施してあるモノもあり、ペインター魂をくすぐられます。

その「オペラート」ですが、最近のお問い合わせ頂いた中で
■オペラートが上手くひび割れない
■細かい模様にならない
■イメージ通りにならない
■どうやって使うの
などのお問い合わせがありますので、

これまで数回、テストを行って「ひび割れ具合」を確認してきたのですが、再度、「オペラートひび割れテスト」を行いました。今回はアンダークリヤーに3種類のアンダークリヤー、3パターンの塗布回数と、3通りのセッティング時間の組み合わせでの仕様の違いをテストしました。自分のイメージ通りの模様にするには、何回もテストをしてからペイントするのがベストなのですが、なかなかそんな時間も取ってられないと思いますので、今回のテストしたデータを参考に、オペラートを使ってお好みの「ひび割れ」塗装にトライしてみてはいかがでしょうか。

天候晴れ(風なし)

気温19℃

湿度35%


今回のテストの塗装条件は、次の条件で行いました。


スプレーガン サタ・ミニジェット 1.0mm
パターン 全開
吐出量 2回転
エアー圧力 0.10Mpa〜0.20Mpa
(標準0.15Mpa)

下塗りベース塗料
溶剤1液型
アクゾー・レゾナールベースコート
ブライトイエロー
スタンダードシンナー
希釈率50%
 
中塗りアンダークリヤー 日本ペイント
LXクリヤー3:1
スタンダードシンナー
希釈率20%
専用ハードナー
スタンダード
  日本ペイント 
アドミラ280補正用クリヤー
スタンダードシンナー
希釈率30%
 
  関西ペイント
ラッカースプレーA
エアゾールタイプ  
オペラート オペラート・ブラック 専用シンナー
希釈率50%
 


 テストの手順は、テストピース(プライマー処理済み)に下塗りベース(イエロー)塗布、乾燥後に中塗りアンダークリヤー(3種類)をそれぞれウェットコートで(2コート、4コート、6コート)塗布し、中塗りアンダークリヤー塗布後(塗布1分、塗布15分、塗布30分のセッティングタイム)にオペラート(希釈率50%)をそれぞれ1コートして、変化の比較をしました。テストに当たっては、なるべく同じ条件になるようにスプレーガンの塗装条件は同じにして、塗装する場所も同じ所で塗装し、計量はデジタル計量器を使用し、ストップウォッチで時間を計測しました。

LXクリヤー塗布後1分 (左よりクリヤー 2コート、4コート、6コート)
 
LXクリヤー塗布後30分 (左よりクリヤー 2コート、4コート、6コート)

 日本ペイント「LXクリヤー」3:1ウレタンクリヤーを中塗りアンダークリヤーとして使用した場合のテスト結果ですが、画像(左側)のクリヤー塗布後1分にオペラートを塗布したものは、クリヤーの塗布回数にかかわらず、ひび割れは大きくて、クリヤーの塗布回数の違いでの変化も少なく、均一にひび割れを起こすことも出来ませんでした。

 続いてLXクリヤー塗布15分後にオペラートを塗布したものは、直後にオペラートを塗布したものに比べ、幾分その違いが目に見えてわかりましたが実際にはそれ程極端に変化した訳でもなく、15分でも変化は少なく、効果は薄いと言う感想です。

 最後に画像(右側)の塗布30分後にオペラートを塗布したものは、直後にオペラートを塗布したものと15分後にオペラートを塗布したものに比べ、ひび割れの効果に大きく違いが現れました。時間の経過が同一条件の場合、アンダークリヤーの膜厚の薄いテストピースのひび割れは細かく、膜厚の厚いテストピースのひび割れは大きくひび割れが起こりました。ただアンダークリヤーの塗布回数の少ないもの程、ひび割れは細かく起こりましたが、アンダークリヤーに「ラッカー」「補正用クリヤー」を使用したものほど細かくひび割れませんでした。経過を見ているとクリヤーの溶剤が抜けていくに従って、アンダークリヤーの膜厚によるひび割れの仕方に違いが表れてきたので、もう少しセッティングタイムを取って、もっと溶剤が抜ければ、この変化が効果的に現れるように感じました。

アドミラ/補正用クリヤー塗布後1分(左よりクリヤー 2コート、4コート、6コート)
 
アドミラ/補正用クリヤー塗布後30分(左よりクリヤー 2コート、4コート、6コート)

 次に、日本ペイント1液型ベースコート塗料「アドミラ」の280補正用クリヤーを中塗りアンダークリヤーとして使用した場合は、ウレタンクリヤーを使用した場合に比べ、補正用クリヤーにオペラートの塗布したテストピースは、比較的「膜厚の違いによるひび割れの違い」が起こりやすい印象を受けました。

 補正用クリヤー塗布1分後にオペラートを塗布したものは、均一にひび割れが起こりませんでした。しかし、時間が経過するに従って膜厚の薄いものは細かくひび割れ、膜厚の厚いものは大きくひび割れをして、そのひび割れも均一に起こりました。1液型ベースコート塗料は、溶剤が抜けるのが比較的速い塗料なので、15分〜30分のセッティングタイムでひび割れの違いが表れるので、このタイプですと一度テストしておけば、自分の思っているひび割れを起こせるのではないでしょうか。また普段1液型ベースコート塗料を使用しているユーザーには、使い易い中塗りアンダークリヤーではないかと思います。

ラッカー(エアーゾール)塗布後1分(左よりクリヤー 2コート、4コート、6コート)
 
ラッカー(エアーゾール)塗布後30分(左よりクリヤー 2コート、4コート、6コート)

 最後に、関西ペイントのラッカークリヤー(エアゾールタイプ)を中塗りアンダークリヤーとして使用した場合ですが、結論から言うと、「一番気持ち良く」ひび割れが起こりました。3種類のアンダークリヤーの中ではひび割れの細かさは一番です。ただ、1分後にオペラートを塗布したテストピースは均一にひび割れが起こらず、へんな模様になりました。

 これは、他の2種類のアンダークリヤーと同じ様に、溶剤の抜けていない状態であると考えられます。15分、30分の状態を見ると「塗膜の厚み」と「時間経過」でハッキリと違いを確認することが出来るので、塗布の仕方にもよりますが、少しセッティングタイムをとれば均一にひび割れを起こすことが可能です。しかもひび割れが細かいので、小さな物(ルアーなど)には最適で、しかも膜厚の違いでの割れの大きさの違いがハッキリ出ているので、ひび割れ具合をコントロールするのには一番都合が良いアンダークリヤーです。だた、塗膜性能は3種類の中では一番劣っていますので、自動車業界やカスタムペイントで仕事をされておられる方々は、その点はじゅぶんに考慮してください。

 
good   not good

 上の画像はどちらもアンダークリヤーを塗布後にオペラートを塗布し、最後にウレタンクリヤーでトップコート(2コート)を施した状態です。見て解るように、右側の画像はオペラートのブラックの部分に「リフティング」(浮き上がり、ふくれ)が起こっています。これは、アンダークリヤーの膜厚が厚いテストピースの方が高い確率で発生しました。また、オペラートの塗布量も関係しているようで、一度に厚塗りしてしまうとリフティングを起こしやすいようです。

  「オペラートの特性」
■アンダークリヤーは膜厚が薄いほど細かいひび割れが起こる。
■アンダークリヤーは溶剤が抜けて、落ち着いた状態の方が均一にひび割れが起こる。
■オペラートはシンナー希釈率を50%を目安にして、薄膜でサッと塗布した方が細かい「ひび割れ」が起こりやすい。
  (オペラートの色によって色の染まりに違いがあるので、シンナー量の調整の必要あります)
  (薄膜でサッと塗布して、あらかじめ「ひび割れ」を起こしてしまえば、2コート目も可能) 
■オペラートのシンナー量を少なくする場合(希釈率30%前後)は、なるべく1コートで済ませる。
  (膜厚が出るので2コート目が「ひび割れ」を抑制してしまう)
■オペラートを塗布する時は一発勝負なので、ためらわず一気に均一に塗布する。
■オペラートは沈殿しやすいので、使用前には十分に攪拌しないと性能(ひび割れ)が出ない。

 「オペラートのひび割れをコントロールする」
アンダークリヤーの種類で考えると
■ウレタンクリヤーでコントロールするには、テストしたアンダークリヤーの中では一番溶剤の抜けが遅いので、セッティングタイムを充分に取ること。それと、ひび割れの大きさをコントロールするには、ウレタンクリヤーは1コートで膜厚が付くので、2コート3コートと重ねていくと膜厚が付き過ぎ、細かいひび割れを起こすことが難しくなります。ですので、通常より希釈率を上げてシンナー量を増やします。なおかつ溶剤の抜けを速くする為に、シンナーも通常より速いシンナーを使用します。これで、膜厚が薄くなり溶剤の抜けも速くなります。この状態でオペラートを塗布すれば、細かいひび割れを起こすことが可能です。ただし、今回テストした中では一番コントロールしにくい印象でした。

■1液型ベースコート補正用クリヤーでコントロールするには、ウレタンクリヤーと同様に細かいひび割れを起したい場合は、膜厚が付き過ぎないように注意することです。今回のテストでは、シンナー希釈率をあえて低く 30%(スタンダードシンナー)に設定してテストを行いましたが、希釈率を上げた方が当然、膜厚が薄くなりますから、細かいひび割れを起します。それと、スプレータイプの物に比べ、希釈率やシンナーの速さを調整して自分にあった設定を作り出すことが出来るので、応用が利きます。また、乾燥の速い1液型ベースコート塗料ですので、ウレタンクリヤーに比べて溶剤の抜けも速く、塗装の時間も短くて済みますので、プロのペインターの方も扱いやすく、コントロールもしやすいのではないでしょうか。

■ラッカークリヤー(エアゾール
タイプ)でコントロールするには、エアゾールタイプなので、当然調整出来ません。ですので、そこを逆手に取って「あまり気にせず」均一に、まんべんなく塗布することです。ラッカーですので溶剤の抜けも速く、オペラートのひび割れも細かく起こります。比較的安価で、しかも入手しやすいので、ホビー系(ルアーなど)の小さい物など塗られる方や、スプレーガンを複数持っておられない方には、もってこいだと思います。今回のテストの中では一番コントロールしやすい中塗りアンダークリヤーでしたので、簡単かつ容易に効果が得られます。プロのペインター以外の方でも充分にオペラートをコントロールして、お好みのひび割れ模様を作り出すことが十分可能です。

   今回のテストは、塗布回数や経過時間の違いをアンダークリヤーの種類別に確認しました。「膜厚が薄い方がひび割れは細かく」「アンダークリヤーの溶剤が抜けて、落ち着いた方がひび割れは均一に起こる」など、一応の方向性は確認出来たものの、ウレタンクリヤーであれば「10:1」「4:1」「2:1」などのクリヤーの違い、希釈率、スプレーガン、ブランドの違い、季節、気温、湿度、塗布の仕方など様々な組み合わせで、違う結果が出ると思われます。その組み合わせで自分だけのオリジナルのクラック模様を作り出せるはずです。その効果を引き出すには、今回のテスト結果を参考にして、自分でやってみることだと思います。上手く行かない場合は御連絡頂ければいつでも相談にのります。それと最後にオペラートの攪拌は充分にしましょう。(技術 久保田)

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