水性塗料 自動車補修 / 地球温暖化対策 VOC削減 
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水性塗料の塗装1   ボディショップレポートより 

塗装技術レポート 1

【水性の違和感、もはやなし】 ボディーリペア研修所 講師 棚橋明宏

 かつて水性塗料が出た当初は、カラーカードと実際のデータ調色で塗色との差や、乾燥に時間がかかりすぎるなど課題が多く、現場のボディーショップで使うには現実的ではなかったという印象があった。しかし、今回のトライアルを通して現実的に使用できるレベルまで進化していると実感できた。ハイソリッド型のベースコート塗料を経験しているスプレーマンであれば違和感は少ないのではないか。初期のヌケが良好なことからスッーと入れる感じがする。塗料のトマリもよく、隠蔽性は申し分ない。調色作業でも色の出具合、効き具合に関して、溶剤系と比べて特に違和感はない。
  スプレーガンの設定、運行方法なども溶剤系と比べて、変えていく必要性は感じられない。ただ、粘度が高いため、低圧ガン、あるいは中圧ガンでないと霧化がきれいにできない。従来のガンだと、霧化が悪いため塗料がブツになって出てきて、全体的にザラついたムラのある仕上がりになってしまう。従って、低圧ガンを使うことは必須条件となる。
  塗料の希釈率は今回、湿度にあわせて60%と一定にして行った。塗装方法として最初はウェットコートで塗り、しっかりと水分のヌケをまってからミディアムコート、そしてミストコートと塗り重ねていく。これは溶剤系でも同じことが言えるが、必ず 回1回確実に乾燥してから塗り重ねていくように留意してもらいたい。

 ボカシ塗装をする場合、色を決めるところはウェット、ミディアムと、 1 コートずつ塗装範囲を広げて塗装し、損傷部を隠蔽する。その後、ミストコートでムラを消しながらボカシていく。また、ボカシはエア圧を少し落として塗ると、ボカシ際の黒ずみもなく上手くいく。専用のブレンダを配合すれば、より精度が高いボカシが可能になる。ただ、水性塗料は塗膜なじみが良い分ムラは出にくいが、ウェットすぎる塗膜を後の工程で作ってしまうとムラが出やすい。このあたりの加減には最新の注意が必要になる。  今回のように小面積の塗装であれば、専用のエアブロアーと低圧ガンの導入でこと足りるが、塗装面積が広くなればブース内の空気循環を高めるための追加設備が要求されるケースも出てくるだろう。

 今回のトライアルで感じたことだが、現在の水性塗料は溶剤系と比べて使用感は近づいてきている。工程的には塗料なりの手順もあり、慣れることが必要と感じた。
  最後に、注意事項は多々あるが塗装する面の脱脂は油性、水性と 2 回に分けて確実にするということと、気温よりも湿度にたいする意識を敏感に持つことを忘れないで欲しい。
  これは従来の感覚とは異なるのでじゅうぶんに注意してもらいたい。

 
水性塗料の塗装2   ボディショップレポートより 

 ■デュポン スタンドハイド
  現在、デュポンでは2010年までに国内の自動車補修用と量の10%が水性化するとみており、販売体制の強化や日本における水性塗料のノウハウを蓄積している。また、先頃、輸入車ディーラーの最大手ヤナセが補修塗料の水性化を同社のスタンドハイドで進めることを発表した。 一方トヨタも7月より水性塗料を純正品として発売することはすでにお伝えしたとおり。ここにきて水性化の動きに拍車が掛かり始めた格好だ。

 前回に引き続いて、今回はデュポンの自動車補修用塗料スタンドハイドによるトライアルの模様をレポートする。場所はボディーリペア技術研修所(BRTC)にて行われた。
  当日5月25日の天候は終日、雨模様で水性塗料には厳しい条件となり、外気温度20℃、湿度77%( 正午観測 ) であった。

■ 水性トライアル概要

 塗料はスタンドハイドを使用し、作業はBRTCの棚橋専任講師が担当した。サポートをデュポン尾崎、奥田の両デモンストレーターが務め、作業の補助や、スタンドハイドの取り扱いについて適宜アドバイスを行った。
  実験内容は前回のBASFと同じ。塗色も同じくトヨタの199と1C0。スプレーガンはサタジェット 3000HVLP(デュポン推奨ガン)とデビルビスルナの2種類(口径はともに0.3mm)で行った。パネルはボカシ塗装用(画像B)の2種類。合計8枚に塗装した。199はムラを観測するために、1C0はトマリを見るために選定した。

前回同様、トライアルの詳しい時間経過を表にまとめましたので参考にしていただきたい。なお、掲載の作業時間は前回のBASF同様、メーカーとの打ち合わせの時間も含まれている。したがって、慣れてくればより短い時間で作業を終えられる。

■  調色
調色作業は199 、1C0とも2回で終了した。作業に当たった棚橋講師は「色がしっかり効いて調節しやすかった」とコメントしている。

調色に際しては原色を混合して、専用の水で希釈すると作業可能になるので溶剤系との取り扱いで差はない。また、塗料の粘度は高いが、ハイソリッド系塗料で慣れているとよりスムーズに作業はできるだろう。今回は湿度と気温を考慮した結果、希釈率を一律40%で行った。( マニュアルでは10%)

■ 塗装

 脱脂は溶剤系脱脂剤と水性専用脱脂剤の2工程で行う。これは水性塗料では共通で必要な作業となる。
塗装の方法はボカシ、ブロックの間に大きな差はない。(表 5,6) 水性は圧膜に塗るとムラが出やすい性質がある。そのため1回目にウェットでしっかり塗り、ムラが発生しやすい工程を前にもってくる。続いて 2 回目で色決めをミディアムコートで塗る。3回目では色ムラを消すミストコートを行う。ボカシ塗装の場合はさらに 4回目でボカシを行い、広範囲で薄く塗る工程で行う。
  今回の実験では199ボカシ塗装の3回目の色ムラ消しと4回目のボカシをスムーズにするために圧力を下げている。
  また、スタンドハイドと組み合わされるハイプロクリヤーは専用ハードナーと3:1の割合で混合して使用する。クリヤーは肉ヤセを起こさずツヤ引けがなかったため、ミディアムコートからウェットコートを重ねて一気に塗り重ねた。「作業性と品質の良いクリヤーだからできた手法だ」と棚橋氏はコメントしている。

【水性塗料の品質は向上している】
  水性塗料の使い勝手が通常の溶剤系に近づいてきているということを改めて確認できた。しかしながら、溶剤系とまったく同じとはいかないことも同時に理解してほしい。
 塗装工程でいえば、溶剤系ならばライトコートから徐々に塗膜を厚くするが、水性ではその逆で最初ウェットで塗って徐々に膜厚を薄くする。 たとえば、水性塗料はウェットで塗った場合に色ムラが出やすい。溶剤系と同じく、最後にウェットコートで塗ってムラが発生すれば、もう一度ミストコートを施して色ムラを消す工程を加えなければならない。効率よく作業するには最初に厚膜に塗るほうがベストといえる。

 また、ミストコートで塗装を行うと溶剤系ならば塗装面がザラついてしまうが、水性の場合はなじみがよいため表面がザラつくことはないなど、水性ならではの特性もある。
こうした留意点を押さえれば水性塗料は環境に優しく、現実的に使える塗料だ。今のうちから少しでも早く水性塗料に触れて特徴をつかんで欲しい。最後に今回は雨という水性塗料にとっては不利な条件で行った乾燥時間であることを付け加えておく。

■参考資料 スタンドハイド ベースコート。スプレーガンはサタ3000HVLP使用のデータ。実際の作業時間、ブロアーを当てた乾燥時間のみ

199ボカシ     

199ブロック  

作業内容  塗装時間  乾燥時間  作業内容  塗装時間  乾燥時間 
塗装1回目 
37秒 
6分37秒 
塗装1回目 
26秒 
3分28秒 
塗装2回目 
1分24秒 
9分39秒 
塗装2回目 
52秒 
3分17秒 
塗装3回目 
48秒 
6分01秒 
塗装3回目 
21秒 
2分26秒 
塗装4回目 
26秒 
10分10秒
実質時間
1分39秒
9分11秒
実質時間
3分15秒
32分27秒
トータル 

10分50秒

トータル 
35分42秒   
   
 
1C0ボカシ     

1C0ブロック  

作業内容  塗装時間  乾燥時間  作業内容  塗装時間  乾燥時間 
塗装1回目 
44秒 
7分05秒 
塗装1回目 
37秒 
3分58秒 
塗装2回目 
1分32秒 
7分30秒 
塗装2回目 
57秒 
3分20秒 
塗装3回目 
49秒 
4分40秒 
塗装3回目 
30秒 
2分39秒 
塗装4回目 
21秒 
3分12秒
実質時間
2分04秒
9分57秒
実質時間
3分26秒
22分27秒
トータル
12分01秒
トータル 

25分53秒

    


 

 

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