墨モルタル仕上げに モルタルに松煙墨を混ぜて灰色や黒色にすることができます。 住宅では玄関やポーチ、土間スペース等で使われます。 ベンガラや柿渋と混合して ベンガラや柿渋と混合して使用することで、色合いに奥行きを与えるとともに、防腐・防虫効果を高める役割も果たしています。 本物の黒色の様々な雰囲気を出したり、天然顔料や自然塗料などと組合せて色彩に深みをつけたり、と松煙墨を活用することで、無垢材の表現力をアップし、楽しみ方を拡げることができます。
松煙はその名の通り、樹脂含量の多い松(特に根元の部分)を不完全燃焼させてつくった煤(すす)を集めた炭素黒色顔料のことで、和墨の原料として知られています。 その歴史は古く、後白河天皇(1155〜1192)の頃から紀州松煙が賞賛されていたという記録が残されています。 西洋でもインクの材料として使用され、カーボンブラックが生産されるまでは、最も純粋な炭素黒色顔料とされていました。 松煙の色は基本的に純粋な黒色ですが、白色の顔料を混ぜると青みを帯びた灰色になるなど、重厚からカジュアルまで、様々な雰囲気を出すことができます。 松煙は水に溶けにくいため、アルコール類に溶かしてから水で希釈して濃度を調整します。 濃度を濃くすると、重厚感のある「古色」に仕上がり、薄くすると透明感のある黒色になって、木目を活かした仕上がりになります。 仕上げにオイルフィニッシュで表面を保護し、色落ちを防ぐことができます。 また、フローリングなど磨耗する可能性のある場所に使用する場合は、塗料の定着と表面保護のためウレタンコーティングを施します。 なお、松煙仕上げには杉・ヒノキといった針葉樹や、広葉樹でもナラ・タモといった木目のはっきりしている環孔材が適しています。 散孔材は木目が目立たなくなってしまうため、あまり向いていません。